猫の尿路結石の予防におすすめなキャットフード
尿路結石は雄猫が一生に一度はかかると言われているほど、猫がかかり易い病気です。それは猫があまり水を飲まない動物であることも原因です。
水分摂取量を増やすことでも有る程度の予防効果はありますが、キャットフードを替えることでも尿路結石を予防することが出来ます。ここでは尿路結石の予防におすすめのキャットフードについて詳しくご紹介していきます。
猫の尿路結石の予防におすすめなキャットフード【目次】
猫の尿路結石の予防におすすめなキャットフードの選び方【3つのポイント】
穀物が少なく、肉食在が多い高たんぱくなキャットフードは猫にとってとても消化しやすいです。近年の研究で高たんぱくなご飯を続けることで、おしっこの量が増えてストルバイトを結晶化しにくくするという研究結果もあります※。
引用:ネコにおける高蛋白食給与が尿中ストルバイト結晶数ならびに尿不溶性有機成分濃度に及ぼす影響-ペット栄養学会誌,第4巻(第1号):7-12,2001
カルシウムやマグネシウムといった尿結石の原因物質の摂取量を調整することで、尿中の結石成分を減らします。
おしっこが酸性・アルカリ性のどちらかに傾くことで、ストルバイトやシュウ酸カルシウム結石がおしっこの中で結石化します。それを防ぐ為におしっこの尿pHを中性に保つキャットフードがあります。
これはフードのpHを6程度に調整し、猫が食べた後に体内でおしっこのpHを中性にするのにもっとも適した値とされています。
猫の尿路結石予防にキャットフードの選び方早見表
上記で挙げた3つのポイントを踏まえた上で、実際にサイト内でレビューもしているフードの比較表を作ってみましたのでキャットフード選びの参考にしてみて下さい。
メーカー名 |
たんぱく質の量 |
ミネラル分 (カルシウム・マグネシウム) |
フードでの予防効果 |
---|---|---|---|
37% |
1.58%・0.09% |
無し |
|
37% |
1.89%・0.13% |
無し |
|
30% |
1.3%・0.09% |
無し |
|
40% |
1.7%・0.09%※4 |
無し |
|
32%以上(※3) |
1.1%以下・0.07%以上 |
◎ |
|
32%以上(※3) |
1%・0.07% |
ケアフード・療法食あり |
|
29%以上(※2) |
0.65%以上・記載無し |
ケアフード・療法食あり |
|
40%以上(※3) |
1%・0.09% |
無し |
|
32%以上(※2) |
記載無し・0.12%以下 |
無し |
|
30%以上 |
記載無し・記載無し |
無し |
|
33%以上 |
0.9%以上・0.1%以下 |
無し |
|
30%以上 |
0.9%・0.08% |
無し |
|
29% |
1%・0.09% |
無し |
|
28%以上 |
0.9%・0.09% |
無し |
|
30%以上(※3) |
1.1%・0.1% |
無し |
|
42%以上 |
1.4%以上・0.09%以上 |
◎ |
|
30%以上 |
1.1%以上・0.08%以上 |
無し |
|
32% |
1.2%・0.08% |
無し |
|
34% |
記載無し |
有り |
|
31%以下 |
0.96g・0.083g |
有り |
|
23.4%以下 |
0.7%以上・0.12% |
無し |
|
32%以上 |
記載無し |
無し |
|
28%以上 |
0.6%以上・0.08% |
有り |
|
33.2% |
0.96%・記載無し |
無し |
|
35%以上 |
1.61%・0.13% |
無し |
|
34%以上 |
記載無し・0.1%以下 |
ケアフード有り |
|
31% |
1.15%・0.07% |
ケアフード有り |
|
32% |
14.5% |
無し |
|
30% |
1%・0.09% |
〇 |
|
28%以上 |
1.0%以上・不明 |
無し |
|
30%以上 |
不明・0.1%以下 |
無し |
※1、たんぱく質・カルシウム・マグネシウムの値は当サイトでレビューした商品の価を入れてあります。
※2、副産物や4Dミールが使われています。肉以外の材料が含まれていて消化・吸収に悪い為おすすめできません。
※3、肉材料を多く使っていそうに見せていますが、実際は穀物の方が多いのを隠そうとしているメーカーです。
※4、ジャガーのマグネシウム値は栄養添加分(0.02%)+食材に含まれる値の理論値
- 高たんぱく
- フードのpHが5.5~6
オリジンキャットフードは、ロイヤルカナンやヒルズのサイエンスダイエットから出ているような、尿路結石を予防することに特化したフードではありません。その為、マグネシウムやカルシウムの値は、それらのフードと比べると高めです。
ですが、「猫の尿路結石予防方法や治療後のフードについて」にもまとめたように、高たんぱくなフードは猫の尿量の増加、尿pHの低下(ストルバイト結石化の予防)に効果があるとする研究結果もあります。
ロイヤルカナンやヒルズのように、結石の元となるマグネシウムやカルシウムの含有量を調整する科学的な予防法とは対照な、肉食動物である猫本来の食事が尿路結石の予防に効果的であるとするものです。
再発率が高い子には、ロイヤルカナンやヒルズなどの科学的な予防フードをおすすめしますが、一度患ったことがある程度の子には猫本来の食事に近いオリジンキャットフードをおすすめします。
現在私達の身近にいる猫の原種は砂漠に住んでいました。なのであまり水を飲む習慣が無いだけでなく、少量の水で活動できる省エネ設定な体になっています。
その為、猫のおしっこは常に濃くてニオイもきついことが多く、少量でおしっこの頻度も少ないのでおしっこの中で結石化し易いんです。
水を飲む量を増やすとおしっこが薄くなり、1回の量も増えて頻度も増えます。なので尿路内で結石化する前におしっことして出すことができます。
猫の年齢によってかかり易い尿路結石の種類が変わる
おしっこのpHがアルカリ性(高い)に傾くと結石化し易く、若年層に多い結石であり、猫の尿結石で最も多い結石です。主な抗生物質はマグネシウム・アンモニア・リン酸です。療法食によって尿pHを酸性に維持すると溶けます。
おしっこのpHが酸性(低い)に傾くと結石化し易く、高齢になるにつれて発症率が高くなります。また、猫の尿路結石で2番目に多い結石です。シュウ酸カルシウム結石は療法食でも溶けないので、石の大きさによっては手術で取り除く必要があります。
つまり、猫の尿路結石を防ぐには、「おしっこの量・回数を増やす」ことと「尿pHをコントロール」することが効果的ということが分かります。
なので尿路結石用の療法食やケアフードの多くは「尿pHを調整」や「ナトリウム(塩)量を増量」して強制的に水を飲ませて、おしっこの量と回数を増やしています。
- オス猫
- 肥満・メタボ体型
- ストレス
現在、調査や研究によって尿路結石の発症率をあげることが分かっているのは「性別(オス)」と「肥満体型」です。
オスはメスと比べて尿道が長いので、尿道に結石が詰まる「尿道結石」の発症率が高くなります。
メスは尿道結石のリスクは低くなりますが、尿道が短いので細菌感染し易く「膀胱炎」の発症率がオス猫よりも高くなります。
肥満やストレスのなにが発症率をあげるのか詳しく分かってはいませんが、「膀胱炎」の発症率をあげることが分かっています。
膀胱炎から結石症を合併することも珍しくはないので尿路結石と同時に膀胱炎の予防も大切と言えます。
最近では単に尿pHをコントロールするだけでなく、ストレスを和らげるリラックス成分を含んだヒルズの「c/d コンフォート」やロイヤルカナンの「pH+CLT」などもあります。
- おしっこの色が赤~茶色のような色をしている
- おしっこをした跡を見るとキラキラ光るものがある
- トイレに何度もいく
- 尿道付近をよく舐めるようになる
- おしっこのニオイがきつい
- 発熱
- 食欲不振
- うずくまってあまり動かなくなる
- おしっこを粗相する
- トイレに長居する
- トイレで鳴く
- お腹を触られるのを嫌がる
上記のような症状が見られる場合、尿路結石や膀胱炎の可能性が高いです。放っておいて良くなることは無いので早めに受診しましょう。
猫の尿路結石の治療は食事療法が一般的です。動物病院では「ロイヤルカナンの療法食」か「ヒルズのプリスクリプション・ダイエット」を処方されることが多いです。
最近の療法食は「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」どちらにも対応したものが多いです。但し、ストルバイトに特化した療法食(ヒルズのs/dなど)もあります。
また、結石を溶かす事に特化して、結石が溶けた後に食べ続けるのには向かないフードもあります。療法食を始める時は獣医の診断が必要です。
まずは一度検査を受けて、石が「ストルバイト」なのか「シュウ酸カルシウム」なのか「それ以外」なのかを特定し、サイズや場所によって適切なフードを選ぶ必要があります。
シュウ酸カルシウム結石の場合は療法食でも溶けない為、サイズや場所によっては切開して取り除くこともあります。
素人判断で療法食を選ぶと悪化させたり治療を長引かせ、結果として猫に辛い思いをさせることにもなるので注意しましょう。
猫の尿路結石予防に効果がある3つの方法とは?
ここからは尿路結石の予防方法をご紹介します。ストレスも原因ではありますが、ストレスの原因を特定し緩和することは困難なのでそれ意外の原因で予防効果の高いものを紹介します。
トイレを清潔に
猫はキレイ好きな生き物で、トイレが汚れているとおしっこを我慢してしまいます。トイレは常に清潔な状態を維持してあげて下さい。
また、多頭飼いの場合は飼育頭数よりも1つトイレを多めに用意してあげると良いでしょう。
トイレの共有は嫌がる子もいますし、飼い主にとっても掃除が大変になります。また、猫にとってもストレスになります。
水を飲んでくれる工夫をする
「猫が水を飲まないときの対策方法」も参考に猫が水を飲める環境作りをしてあげると療法食の効果が高まります。
また、猫は流れている水を好みます。(流れている=新鮮と考える為)最近では、噴水タイプの水やり器もあります。
また、鶏肉やささみ肉のゆで汁(味付けはなし)を寒天で固めておやつとしてあげれば水分補給と便秘や毛球症予防にもなるのでおすすめです。
予防効果のあるキャットフードを与える
- 尿路結石になった事が無い子は「ランキング」から選ぶ
- 尿路結石になった事がある子は予防食を選ぶ
- 現在治療中の子は療法食で治療に専念する
まだ尿結石になったことが無い子なら「ランキング」や「選び方」を参考に探してあげるのが良いでしょう。
既に尿路結石になった事がある子は再発率も高いので獣医と相談するか「尿pHを調整」や「F.L.U.T.D(猫の下部尿路疾患)に配慮」と書かれた予防効果のあるフードを選ぶと良いでしょう。
尿路結石は確かに猫に多い病期ですが、まだなったことが無い子に予防食を与える必要はありません。その子の体質も発症率に大きく関わります。
既に症状が見られる場合や現在治療中の場合は必ず獣医の指示に従って療法食を与え、治療に専念しましょう。
まとめ
猫は尿路結石にかかり易く、再発も多い病気です。また、療法食は値段も高く獣医の指示の元与えなければいけないので、通院や餌代など飼い主の負担が大きいのが実態です。
尿路結石の治療が終わった子は、獣医と相談しながら尿路結石に配慮した総合栄養食に切り替えてあげると良いでしょう。
目的別おすすめキャットフード【選び方】
子猫 0~6カ月 | 成猫 1~6歳 | 高齢猫 7歳~ |
---|---|---|
肥満 | 痩せ気味・食べない | 症状・病気別 |
---|---|---|
無添加で安全 | 安い市販のもの | ウェット |
---|---|---|
3匹の愛猫で有名なキャットフードを食べ比べました!
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